このガイダンスでは、2009年6月にスペインのセビリアで行われた世界遺産委員会で新たに登録された世界遺産について説明された。これに加え、ユネスコの世界遺産の方針、世界遺産保全のための課題などについても説明された。
ちなみに今回の委員会には日本は入っていない。
- 日時:2009年9月12日(土)16:00~17:30
- 場所:【梅田】毎日コミュニケーションズ マイナビルームd(18f)
- 参加者:3人(やっぱり、少な!)
2009年に新規登録された物件
全部で13件(文化遺産11件、自然遺産2件、複合遺産0件)。13件というのは、近年まれに見る少なさとのこと。
2006年:18件、2007年:22件、2008年:27件
これらの物件を加え、世界遺産の数は890件になった。
- 五台山(中国):中国三大霊山のひとつ。中国は最初複合遺産として申請したらしいが、文化遺産として登録される。
- ヘラクレスの塔(スペイン):今も稼働している世界最古の灯台。ガリシア人の民族的シンボル。
今回の登録により、新たに世界遺産が誕生した国は次の三か国。
- キルギス
- ブルキナファソ:アフリカの国。旧フランス植民地。
- カーボヴェルデ:僕は初めて知った国。アフリカにある国。旧ポルトガル植民地。
全部で3つ。
- ムツヘタの歴史地区(グルジア):保存管理体制の不備やフレスコ画の劣化
- ベリーズ・バリア・リーフ自然保護区(ベリーズ):過度の開発とマングローブ伐採
- ロス・カティオス国立公園(コロンビア):不法な森林伐採と密猟・密漁
※世界一大きいのはグレートバリアリーフ。
世界遺産リストから削除された物件
これまでにも書いた「ドレスデン・エルベ渓谷(ドイツ)」が削除された。悲しい話。景観の保護と住民生活の利便性の対立の結果、利便性が採用されたとのこと。
世界遺産の問題を考えるとき、これは大きな問題。今後も同じような問題で悩み続けることになるのだろうね。
ちなみに、前のマイスター試験の論述問題で、「ドレスデン・エルベ渓谷の事例をどう考えるか?」という問題が出題されたらしい。
第2部「グローバルストラテジー」世界遺産に関して予想される今後のユネスコの方針
今後、ユネスコがどのような方針のもとに世界遺産を考えていくのかに関する説明。
- 地理的拡大:ヨーロッパなどに偏っていたものを、アフリカや太平洋島嶼国にも意識的に広げようとする考え。
- 文化的景観の重視:景観・自然環境の中に価値を見出すという考え。
- 産業遺産の増加:石見銀山などの産業に関する遺産にも目を向けようという考え。
- 近代建築の増加:オーストラリアのオペラハウスのように、新しい建築も高く評価しようという考え。
これが世界遺産なら、日本にも数万件の世界遺産が生まれることになると思う。どこに普遍的な価値があるのか、「モダニズム建築」という言葉がキーワードらしい。
ブルーノ・タウトという人がモダニズム建築の大家らしいけど、この人は大阪の旧中央郵便局の建物がモダニズムの視点でとても素晴らしいと言ったとか。
これが旧中央郵便局の建物。誰がこんななんてことない建物を後世に残したいと思うのやろうね。
第3部 世界遺産保全のための今後の課題
- 保存と開発の共存は可能か?
- 観光は遺産にとって脅威か好機か?
- 「無形文化遺産」も重視する必要性
フィリピンの「コルディリェーラ山脈の棚田」と関連する「イフガオ族の歌、ハドハド」など。
今年の9月に正式に無形文化遺産の代表一覧表が完成するらしい。この一覧に、日本のものは3つ。「能楽(2001年)」「人形浄瑠璃文学(2003年)」「歌舞伎(2005年)」。
京都の祇園祭も無形文化遺産に登録される可能性があるらしい。
以上。
0 件のコメント:
コメントを投稿